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第2回 英語ができなくても、海外で仕事はできる?

『海外という選択肢 〜テリー野澤の「世界で何かやってみる」話〜』の記事一覧へ

前回、僕がほとんど「勢い」でニュージーランドに渡ったという話を書きました。今回は、多くの人が海外生活で一番不安に思うであろう「英語」について、正直に振り返ってみたいと思います。結論から言うと、僕はいまだに英会話が苦手です。それでも25年、なんとかこの国でやってこれました。その舞台裏を書いてみます。

来た当初の英語力はどれくらいだったか

渡航を決めてから、慌てて英語教材を買い込んで勉強しました。当時のTOEICのスコアは550点ほど。もちろんスコアだけで会話力は測れませんが、僕の場合は「観光旅行で身振り手振りを交えながら、なんとか会話が成立する」くらいの感覚でした。想定していた質問と少しでも違う聞かれ方をされると、もう何を言われているのか全くわからなくなる。そんな英語力でした。

家を借りるときや、銀行口座を開設するときなどで、何を言われているのかも、そもそものルールもわからない状態でした。スーパーで買い物をするときも、日本なら店員さんに「これどこにありますか?」とすぐ聞けるのに、それすら聞けない。見つからなければ、あきらめて手ぶらで帰るという、まるで子供のお使いのような日々でした。

英語が苦手なまま、どうやって仕事・生活の基盤を作ったか

正直に言うと、周りのスタッフにかなり甘えていました。電話口で英語がわからないと、すぐに誰か捕まえて電話に代わってもらっていました。スーパーで買い物程度なら会話らしい会話をしなくても済むのでなんとかなりましたが、車を買うような大きなお金が動く場面では、ニュージーランドで知り合った友人に付き添ってもらったりしてました。

今振り返ると、当時出会った多くの人たちに、ずいぶん甘え、迷惑もかけてきたと思います。それでも、そうやって周りに頼ることも含めて、生活の基盤を作っていくしかなかったのです。

言葉の壁をどう乗り越えてきたか

このままではいけない!そう思って、仕事が終わったあと、語学学校に通いました。1日たった2時間でしたが、それでも少しずつ英語に慣れていきました。そうそう、最初の3ヶ月はホームステイをしていたんです。とにかく英語に触れる時間そのものを増やすようにしていました。

それでも「英語が苦手」という意識は今現在も消えていません。最低限のコミュニケーションが取れる程度の力を身につけたあとは、正直なところ、そこからあまり伸びていないと自覚しています。

英語がなくても大丈夫だった場面、逆に必要だと痛感した場面

仕事上、取引先との交渉ではどうしても英語が欠かせません。適当に相槌を打って、意味もわからないまま不利な契約を結んでしまっては、ビジネスそのものが成り立たなくなります。そのため、わからないときは「わからない」とはっきり言って、何度も聞き直しました。

意外だったのは、ニュージーランドの人たちの対応です。笑顔で何度も繰り返し説明してくれたり、もっと簡単な単語に言い換えてくれたりと、僕がちゃんと理解するまで根気よく付き合ってくれました。もともと移民で成り立ってきた国だからこそ、英語があまり得意でない人への接し方に慣れているのでしょう。そういう環境だったからこそ、僕のような英語力でもなんとかやってこられたのだと思います。

一方で、20歳のときにオートバイで事故を起こして背骨を折って、以来、背骨に爆弾を抱えているのですが、あるとき簡単な手術が必要になりました。さすがに「なんちゃって英会話」では危険だと感じ、その時は通訳を雇いました。医療関連の専門用語にも対応できる通訳者を派遣する民間の通訳サポート会社があり、時間単位で費用はかかりますがお願いしました。聞き慣れない専門用語を誤解したまま進めてしまうリスクを考えれば、迷わず頼んでよかったです。このような民間の通訳サポート会社は、日本のクレジットカード会社と提携していることが多く、カードの付帯保険に入っているとカード会社がこのサポート会社を通じて通訳者を派遣してくれるサービスもあるようです(詳細はご加入されているカード会社に確認してください)。

(注記)ニュージーランドの裁判所では、英語でのコミュニケーションに不安がある場合、必要に応じて無料の通訳を手配してもらうことができます。Te Reo Māoriやニュージーランド手話(NZSL)の通訳にも対応しています。詳細や利用条件については、ニュージーランド司法省(Ministry of Justice)の最新情報をご確認ください。

このセーフティーネットには、本当に助けられてきました。

英語に自信がない人へ伝えたいメッセージ

英語は、日本語と同じく、ただのコミュニケーションツールに過ぎません。相手と意思疎通さえできれば、ネイティブ並みに流暢である必要はないと考えています。実際、僕自身は未だに英会話は苦手なままです。

それに、今はAIがメールやテキストの翻訳から返信文の作成まで瞬時にやってくれる時代になりました。僕が渡航した当時に比べれば、英語のハードルははるかに低くなっているはずです。

そのため、英語に自信がないからといって、「海外では何もできない」と最初から諦める必要はないと思います。ただ一つだけ気をつけてほしいのは、自信がないからといって、わからないままとりあえず「YES」と答えてしまうことです。それは思わぬトラブルにつながります。少しでもわからなければ、「わからないから、もう一度言ってください」と伝えればいいのです。僕の経験では、ニュージーランドの人たちは、わからないと伝えれば丁寧に対応してくれることがほとんどでした。だから安心して、その一歩を踏み出してほしいです。

英語に自信がなくても大丈夫です。なにせ、こんな僕でも25年間なんとかやってきました(笑)。謙遜ではありません。本当に英語は苦手でしたし、今だって決して得意ではありません。

大切なのは、完璧な英語を身につけてから海外へ出ることではなく、わからないときに「わからない」と言えること。そして、必要なときには周りの人や専門家に頼ること。

英語ができるようになってから世界を見るのではなく、世界に出ながら英語を覚えていく。

僕は、それでも十分だと思っています。

海外で何かやってみたい、日本にいながら海外を相手に仕事をしてみたい、海外移住や起業を考えている。でも「自分の場合は何ができるんだろう?」「英語ができないのにいいのかな?」と思っている方は、お気軽にご相談ください。
テリー野澤:terry@nzdaisuki.com

テリー野澤
大学卒業後、新卒で日本のコンピュータメーカーに就職。金融系システムエンジニアとしてプログラマー、上流エンジニア、ブリッジSE、顧客サポート業務を歴任して退職。
その後、ニュージーランドに渡航して起業。ニュージーランドの日本人コミュニティ基盤をオンラインで構築して運営している。そのNZDAISUKI.COMは、ニュージーランド国内の日本人向け最大のコミュニティサイトとなっている。
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