ニュージーランドの与党ナショナル党は9月20日、総選挙に向けた教育政策「セット・アップ・フォー・サクセス(成功への準備)」の一環として、幼児教育施設(ECE)でのデジタル画面と個人用端末の利用をやめる方針を発表した。オークランドで、クリストファー・ラクソン党首とエリカ・スタンフォード教育相が発表に臨んだ。
政策は、ECEでの画面・個人端末の使用を終わらせるだけでなく、小学校1〜3年生での使用を厳しく制限し、それより上の学年にも年齢に応じた上限を設ける内容だ。さらに、小学校で年2回行われる評価のうち、書く力を測る部分は紙で実施することを義務づける。スタンフォード氏は「技術には教育での役割があるが、それは学びを高めるものであるべきで、子どもが学ぶ既定の手段になってはならない」と述べ、国際的な流れも明らかだと強調。手書きで文字を形づくることが、子どもの学習と記憶の定着に役立つという研究にも言及した。
あわせて導入を目指すのが、小学校入学前の「スクール・スタート・チェック」だ。現場の教員からは、トイレや着替えなど基本的な身の回りのことができない、鉛筆やはさみを持ったことがない、会話が十分にできない、自分の名前の文字が分からないといった状態で入学する子どもが増えているとの声がある。スタンフォード氏は、これは「合否を決める試験ではなく、期待値を示すもの」で、子どもの入学を止めることは決してないと説明している。
これに対し労働党のクリス・ヒプキンス党首は、元教育相の立場から、幼児期の成果を高めるには「質の高い教師を子どもの前に立たせることに焦点を当てるべきだ」と述べ、画面の禁止は的を外していると批判した。一方、緑の党のスワーブリック共同党首は、提案の内容を検討するとし、端末そのものの設計の問題にも触れた。教育のデジタル化を巡る議論は、選挙戦の新たな争点となりそうだ。
