身寄りがなく、お金も残さずに亡くなった人の火葬や埋葬を担う葬儀社が、1件あたり数千ドルの費用を自腹で負担している実態が明らかになった。ニュージーランド葬儀社協会(FDANZ)は、公的機関の方針によって会員が損失を被っていると訴えている。RNZが報じ、1NEWSが伝えた。
こうした「困窮者葬」は、遺体の引き取り手がいない場合に老人ホームや病院から依頼されるのが一般的で、引き受けは任意だ。ワイカト地方テ・アワムトゥの葬儀社経営者ジム・ゴディン氏は6月までの1年間に11件を担当。警察や病院、保健当局、公的信託機関、労働所得局などとの調整や、警察と故人宅を訪れて親族の連絡先を探す作業も伴い、「葬儀の前に膨大な手間がかかる」と話す。
費用も重い。最も安い棺が約400ドル、証明書類が200ドル、霊柩車が1回300ドル、自治体の火葬料はロトルアの647ドルからインバーカーギルの1,300ドルまで幅がある。人件費や燃料費を加えると、専門的な報酬を除いても1件2,000〜3,000ドルかかる。政府の葬儀補助金は自然死で最大2,697ドル(労働所得局)、事故死で最大8,236ドル(ACC)が支給されるが、支給は確実ではない。
クライストチャーチの葬儀社マネジャー、ジェイミー・ハーベイ氏は同期間に22件を担当し、補助金を受けても毎回1,500〜2,000ドルを損失処理しているという。遺体が安置所に置かれている間に故人の口座から請求の引き落としが進み、死亡時点で資金があったとして補助金を却下されるケースもある。社会開発省は、法律上、死亡時点の遺産額で判断せざるを得ないと説明している。
一部の自治体は補助金から火葬・埋葬料を支払うよう求めているが、協会のジリアン・ボイズ最高経営責任者は「法の趣旨に反する」と反発。年間死亡者数は昨年の3万7,500人から2045年には5万4,000人へ44%増える見通しで、困窮者葬も増えると懸念する。ハーベイ氏は「葬儀社は慈善団体ではいられない」と訴えている。
