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ニュージーランドで楽しむ手作りビールのある暮らし

じめての自家製ビール体験

ニュージーランドで暮らしていると、日本ではなかなか体験できないことに出会う機会があります。そのひとつが「自家製ビール」です。

ニュージーランドでは、個人で楽しむ範囲であれば自宅でビールを醸造することが法的に認められています。スーパーに行くと、ビールの元になるモルト缶が普通に並んでいて、ラガー、ドラフト、エールなど、種類もさまざまです。最初に見たときは「え、これでビールができるの?」と半信半疑でしたが、せっかくなので挑戦してみることにしました。

今回は、そんな初めてのビール作りの記録を、日記のような形で残してみます。

【1日目】

ビール作りに初挑戦。仕事終わりに師匠となる友人が来てくれて、一緒に仕込みをしました。

まずは「消毒」から。雑菌が入ると失敗してしまうので、使うバケツをしっかり消毒します。最初は灰色のバケツを使おうと思っていたのですが、よく見ると亀裂が入っていて水が漏れてしまい、急遽もう1つのバケツに変更。いきなりのハプニングです。

手順は思ったよりシンプルでした。
1. 少量の水を入れたバケツにラガーの元をすべて投入
2. お湯を加えながらしっかり溶かす
3. 作業しやすい場所に移動し、水を足して合計約23リットルにする
4. 砂糖を1kg強入れる
5. イーストを入れて軽く混ぜる (イーストはDIYビールモルトに付属)

専用の発酵タンクも売られていますが、今回は洗濯用の大きなバケツで代用しました。こういう「ちょっとしたDIY感」も楽しいところです。

最後にホコリが入らないようにタオルをかけて、その日は終了。

夜になると、すでに少し発酵が進んでいる様子。気温が少し低い気がしたので、上から毛布をかけて保温してみました。

【2日目】

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朝起きてガレージに行くと、明らかに昨日とは違う様子。発酵が進んでいて、独特のイーストの香りが広がっていました。

夜になる頃には、液体の表面が泡で覆われてきました。「本当に生きてるんだな」と実感する瞬間です。

【3日目】

朝、さらに泡が増えていました。見た目にもはっきりと変化が分かります。

香りも変化してきていて、最初のイースト臭から、少しずつアルコールの匂いへ。発酵がしっかり進んでいる証拠です。

夜には、アルコールっぽさの中に「ビールらしさ」も感じられるようになってきました。

【4日目】

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大きな変化はないものの、安定して発酵が続いている様子。こういう「待つ時間」も、ものづくりの一部なんだなと感じます。

【5日目】

泡が少し落ち着いてきました。香りはかなりビールに近づいています。

この段階になると、「ちゃんと完成するかも」という安心感が出てきます。

【6日目】

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見た目の変化はゆるやかですが、発酵はまだ続いている様子。日々少しずつ変わっていくのが面白いです。

【7日目】

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液体が徐々に澄んできた気がします。香りは完全にビール。

ただ、自分の語彙ではこの香りをうまく表現できないのがもどかしいところです。ビールに詳しい人なら、「ホップの香りが〜」とか「モルトのコクが〜」といった表現ができるのでしょうが、今の自分には「ちゃんとビールの匂いがする」というのが精一杯。それでも十分感動的です。

【ボトリング】

最初の仕込みの日から1週間で発酵が落ち着いたところで、いよいよ瓶詰め(ボトリング)です。

専用の器具を使う方法もあるそうですが、今回はシンプルに上からすくって瓶に入れる方法にしました。これもまた、DIYらしいやり方です。

少しずつ丁寧に瓶へ移し替え、しっかり蓋をして保存。この時点ではまだ完成ではなく、ここからさらに瓶の中で熟成が進みます。

【約1ヶ月後】

ついに完成。

恐る恐る一本開けてみると、しっかりと「プシュッ」という音。グラスに注ぐと、ちゃんと泡も立ちます。

そして味は――ちゃんとビールでした。

もちろん市販のビールのような安定した味ではありませんが、それが逆に面白いところ。同じように作ったはずなのに、瓶によって微妙に味やアルコール感が違う気がします。少し軽いもの、少ししっかりしたもの。それぞれに個性があるのが、まさにDIYならではの魅力です。

後日、NZ人の友人にこの話をすると、「自家製ビールってけっこう便利なんだよ」と教えてくれました。

ちょっとしたお礼として渡したり、おうちパーティーのときに持ち寄ったりするのにちょうどいいのだそうです。確かに、自分で作ったものを誰かに渡すというのは、ただ買ってきたものとは違う温かさがあります。

一方で、最近はお酒をあまり飲まない世代も増えてきているとのこと。それでも、一世代前のおじいちゃんたちは、ガレージで仲間とDIYビールを飲むのがひとつの楽しみだったそうです。

今回の体験を通して感じたのは、「ビールは作れるものなんだ」というシンプルな驚きでした。

普段何気なく飲んでいるものが、実は時間と微生物の働きによってできている。その過程を目で見て、匂いで感じられるのは、とても面白い体験でした。

また、ニュージーランドの「自分で作って楽しむ文化」も改めて感じました。専用の道具がなくても、家にあるもので工夫しながらやってみる。この自由さは、暮らしを豊かにしてくれる要素のひとつだと思います。

少し手間はかかりますが、その分、完成した一杯のビールは特別なものになります。もし機会があれば、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

記者プロフィール

Kokd

Kokd

Kokd
2023年にクライストチャーチにECE留学。家族の将来のために移住を挑戦中。

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