ニュージーランドで覚醒剤(メタンフェタミン)の使用が拡大し続けている。警察による下水の薬物検査では、2026年第2四半期の覚醒剤使用量が週平均約33.3キロに達した。4月に「非常に高い使用量」が記録されたことが平均を押し上げたといい、社会的損失は週あたり推計3,490万ドルにのぼる。MDMAやコカインの使用量を大きく上回る水準だ。
マッセー大学のクリス・ウィルキンス教授によると、2024年後半に国内の覚醒剤消費量はわずか3カ月で倍増し、2025年を通じて高止まり、2026年に入ってからさらに増加している。教授は「需要の変化ではなく、新たな供給ルートができたことが原因だ」と分析。価格も下がり、少量(約0.1グラム)が現在55ドル程度と、5年足らず前の100ドル以上から大幅に安くなった。1グラムあたりの価格も2017年の563ドルから2025年には334ドルに下落している。
警察の国家組織犯罪対策グループを率いるグレッグ・ウィリアムズ刑事警視は、NZとオーストラリアは世界でも最も高値で取引される市場で「金の卵」と見なされていると指摘。かつて東南アジアの「黄金の三角地帯」が主な供給源だったが、現在はメキシコのシナロア・カルテルやCJNG(ハリスコ新世代カルテル)が中心で、米国や太平洋諸島などを経由して密輸されているという。
税関の押収量も2017年以降急増しており、2024年には国内で2,877キロ、国外で2,303キロが押収された。キャシー・コステロ税関相は「過去2年間で国外で3.6トン、国境で5.5トンを押収した」と成果を強調するが、太平洋諸島では覚醒剤の蔓延が深刻化しており、地域全体での対策が急務となっている。
