総選挙を控え、労働党のクリス・ヒプキンス党首は9月21日、政権を取った場合も住宅投資家(賃貸物件の大家)による住宅ローン利子の経費控除ルールには手を加えないと明言した。利子控除は、賃貸物件のローン利子を家賃収入から差し引いて課税所得を減らせる仕組みで、投資家にとって税負担に直結する制度だ。
この制度をめぐっては、労働党が2021年の政権時に控除の段階的な廃止に着手したが、現在の連立政権が2024年にこれを覆し、2025年以降は控除割合が100%に戻る段取りとなっている。労働党は当時、この見直しを「大家への減税」と批判しており、今回の方針はその立場からの転換とも受け取れる。
ヒプキンス氏は理由として、労働党が公約に掲げるキャピタルゲイン課税(CGT)との関係を挙げた。「大家は最終的に物件を売却する際にキャピタルゲイン課税の対象になる」と述べ、利子控除とCGTの間には相互の関連性があるとの認識を示した。労働党の案では、商業用・居住用の不動産の売却益に28%の税率を課す一方、自宅、農地、キウイセーバー、株式、事業用資産、相続財産、個人の所持品などは対象外とされる。利子控除のルールを変えればCGTの設計にも影響が及ぶため、あえて触れない判断をしたという説明だ。
これに対し、国民党の選挙キャンペーン責任者であるシメオン・ブラウン氏は「土壇場での方針転換(Uターン)だ」と批判。「3年間攻撃してきた政策について立場を変えられるなら、誰がヒプキンス氏の言葉を信じられるのか」と述べ、労働党の信頼性を問題視した。国民党側は「労働党は新たな税を導入する」と主張しており、税制は選挙戦の主要な争点の一つになっている。投票日が迫るなか、住宅市場や投資家心理への影響も含め、各党の税制公約に有権者の関心が集まりそうだ。
