「中つ国(Middle-earth)」と呼ばれる映画の王国ニュージーランド
ニュージーランド(NZ)は、その雄大で多様な手つかずの大自然から、数々のハリウッド大作映画の撮影ロケーションとして世界中の映画監督やプロデューサーに選ばれ続けています。中でもピーター・ジャクソン監督による映画『ロード・オブ・ザ・リング(The Lord of the Rings)』および『ホビット(The Hobbit)』三部作は、ニュージーランド全土を舞台に撮影され、世界的なメガヒットを記録しました。
映画の公開から時を経た現在も、NZはファンから親しみを込めて「リアル中つ国(Real Middle-earth)」と呼ばれています。今回は、映画の撮影セットがそのまま恒久的な観光地として保存されている奇跡のスポット「ホビット村(Hobbiton Movie Set)」の魅力と、NZにおける映画エンターテインメント文化について詳しく解説します。
1. まるで映画の世界!「ホビット村(Hobbiton)」とは?
北島ワイカト地方の穏やかな農村地帯マタマタ(Matamata)に位置する「ホビット村」は、作中に登場する小人族ホビットたちが暮らす平和な村「シャイア(The Shire)」の撮影セットをそのまま見学できる世界唯一のロケーションです。
元々は私有地の羊牧場だった場所に、1999年の『ロード・オブ・ザ・リング』撮影のために作られました。当初は一時的な仮設セットとして建設されましたが、映画の世界的大成功とファンの熱烈な要望を受け、『ホビット』三部作の撮影時に本物の木材やレンガを用いた耐久性の高い永久建造物として再構築され、テーマパークのような観光名所へと生まれ変わりました。
【ホビット村の見どころとこだわり】
- 44個のホビットホール(Hobbit Holes):小高い丘の斜面に掘られたカラフルで可愛らしいホビットたちの住居が点在しています。丸いドアや小さな洗濯物、菜園、薪割り場など、生活感が細部まで精巧に再現されています。
- 緑竜館(The Green Dragon Inn):見学ツアーの終点にある伝統的なパブです。ここでは、ここでしか味わえない特製のローカルエール(地ビール)やノンアルコールのジンジャービアを素焼きのマグカップで楽しむことができます。
- 驚異的なディテールへのこだわり:植物や苔の生え方、庭の手入れに至るまで、専門のガーデナーチームが毎日管理しており、スクリーンの中で見たそのままの温かみのある世界観が保たれています。
2. NZ全土に広がる『ロード・オブ・ザ・リング』ロケ地めぐり
ホビット村以外にも、ニュージーランド国内には映画ファンを魅了するロケ地が150箇所以上点在しています。
- トンガリロ国立公園(Tongariro National Park):北島中央部に位置する世界遺産の火山地帯。作中で主人公たちが目指した不気味で壮絶な「滅びの山(Mount Doom)」の撮影地として使用されました。
- ウェリントン(Wellington)とWētā Workshop:首都ウェリントンは「ウェリウッド(Wellywood)」とも称されるNZ映画産業の中心地です。映画の特殊メイクや衣装、プロップ制作を手掛けた世界最高峰のVFXスタジオ「ウェタ・ワークショップ(Wētā Workshop)」では、ガイドツアーを通じて映画制作の舞台裏を間近で体感できます。
- クイーンズタウン&ミルフォード・ロード(South Island):南島の雄大な山脈や河川は、騎馬軍団が駆け抜ける広大な戦場や美しいエルフの国などの撮影地として数多く登場します。
3. 映画ツーリズムがニュージーランドにもたらした影響
NZにとって『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビット』は、単なるエンターテインメント作品にとどまらず、国のブランディングや観光産業(スクリーン・ツーリズム)を飛躍的に発展させた一大産業です。
NZ政府やニュージーランド航空(Air New Zealand)も映画とタッグを機にユニークなプロモーション(機内安全ビデオにホビットや魔法使いが登場するなど)を展開し、世界中から多くの観光客を惹きつける要因となりました。映画をきっかけに訪れた旅行者が、NZの壮大な自然や人々のあたたかさに触れ、ファンになってリピートするという素晴らしい循環が生まれています。
おわりに:スクリーンを超えて本物の冒険へ
映画の中で見た息をのむような美しい風景が、CGではなく実在する場所として目の前に広がる感動は、ニュージーランドだからこそ味わえる特別な体験です。映画ファンの方はもちろん、ファンタジーや物語の世界観が好きな方は、ぜひNZを訪れた際に「ホビット村」へ足を運び、絵本の中に飛び込んだかのような夢のようなひとときを味わってみてください。





