ニュージーランド国会は、建物の耐震規制を見直す「耐震不適格建築物(EPB)改正法」を全会一致で可決した。これにより、現在「耐震不適格」に指定されている建物のおよそ55%にあたる約2900棟が、制度の対象から外れることになる。
シモン・ワッツ建築・建設相は、「リスクに見合わない高額で非現実的な改修費用のせいで、建物が放置され、廃墟化する恐れがある」と述べ、改革の必要性を強調した。政府は、建物所有者や経済全体で総額82億ドルのコスト削減につながると試算している。
改正の柱は、規制の焦点を「人命に関わるリスク」に絞り込むことだ。リスクの低いコンクリート造や木造の建物は耐震不適格の扱いから外れる。一方、高・中程度の地震リスク地域にある補強のない組積造(レンガ・石造り)の建物や、脆弱な多層コンクリート造の建物は引き続き規制の対象となり、より費用対効果の高い改修の選択肢が用意される。地方議会は、重大な地震リスクを引き続き特定できる。
地域面では、オークランド、チャタム諸島、北島北部の低地震リスク地域が制度から完全に除外され、これらの地域で出されていた既存の指定はすべて解除される。オークランドのウェイン・ブラウン市長は「常識が勝った」と歓迎し、オークランドはウェリントンや南島に比べ地震の危険がはるかに低いと語った。他方、最新の科学的知見に基づき、オタゴ沿岸部とスチュアート島は低リスクから中リスクの地震区分に引き上げられる。
改正法の大半は2027年7月1日に施行される予定で、関係者が準備を進める時間が設けられた。ガイダンス資料の整備や意見公募は2026年後半に行われる見通し。地震多発国での規制緩和とも受け取れるだけに、今後の運用が注目される。
