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途絶えた祖父母の味を、NZでもう一度

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途絶えた祖父母の味を、NZでもう一度。Smiley Corokke・よしさんがつなぐ「小林コロッケ」

 

1940年創業。大阪で祖父母のご両親の代から続いてきた「小林コロッケ」。家業の精肉会社がなくなり、その味は一度途絶えました。

「もう、あのコロッケやメンチカツは食べられないんだ」

そう思っていた家族の味を、遠く離れたニュージーランドでもう一度形にしたのが、Smiley Corokkeのよしさんです。

現在はクライストチャーチのマーケットや日本食レストランで、小林コロッケとメンチカツを販売しています。

一度なくなった家族の味が、なぜNZで復活することになったのか。

その背景には、帰国するはずだった2020年の大きな転機と、家族から受け継いだものを次につなぎたいという思いがありました。

Q. コロッケは、よしさんにとってどんな存在ですか?

小林コロッケは、家族との絆をつないでくれた存在です。

子どもの頃は当たり前に食べていましたが、今は祖父母からの贈り物であり、自分の人生プロジェクトのように感じています。

続けていくことへの使命感もあります。

Q. ご家族のお店がなくなった時は、どんな気持ちでしたか?

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「もう、あの牛肉やコロッケ、メンチカツの味は食べられないんだ」と残念でした。

ただ、レシピは残っていました。

いつか家族に作り方を教えてもらえば、もう一度あの味に会える。

そんな楽しみもありました。

母からレシピを受け継いだ時も嬉しかったですが、当時の自分は料理がほとんどできなくて(笑)。

それでも、いつか自分で作ってみたいと思っていました。

Q. 2020年、日本へ帰国する予定だったそうですね。

当時は離婚が決まり、妻子はすでに帰国していました。

自分も仕事を辞めて、飛行機のチケットまで取っていました。

でも、そのタイミングでコロナによるロックダウンが始まったんです。

「日本へ戻っても、しばらく仕事を見つけるのは難しいかもしれない。それなら慣れているNZにもう少し残ってみよう」

そう考え直しました。

ただ、NZに残るには新しいWork Visaが必要でした。そんな時、自分のことをよく知る知人の日本食レストランからJob Offerをいただき、Visaを申請しました。下りなければ帰国するつもりでした。

昔から自分は「人事を尽くして天命を待つ」がモットーなんです。

やるだけやって、無理なら次を考えればいい。

結果的にVisaが下り、その後、永住権も取得することができました。

Q. そこから、なぜコロッケを仕事にしようと思ったのでしょうか?

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実はNZに移住した頃から、「コロッケはここでも受け入れられる」と思っていました。

NZはポテトが豊富ですし、寿司や刺身とは違って、ポテトがメインのコロッケなら海外の人にも比較的抵抗なく食べてもらえるんじゃないかと。

ただ当時はWork Visaだったので、ビジネスとして始めることはできませんでした。

もともと家族や周囲に自営業の人が多く、子どもの頃から「いつか自分でも何かやりたい」と思っていました。

まさか、それがコロッケになるとは思っていませんでしたけどね(笑)。

でも今振り返ると、いろいろなことがつながって、ここに来たような気がします。

Q. レシピがあれば、すぐに昔の味を再現できたのでしょうか?

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それが、全然できなかったんです。自分はそのコロッケを食べて育っているから、味はよく知っています。

でも、ちょっとした加減で同じ味にならない。

それが悔しかったですね。

そこで初めて、「祖父母も試行錯誤しながら、この味を作ったんだ」と、その苦労が分かりました。

レシピがあるだけでは作れない、長い時間をかけて出来上がった味なんだなと。

日本では、以前小林肉屋で長年働いていた職人さんにも作り方を教えていただきました。

その方は、亡くなった父とも一緒に働いていた人で、僕より父のことをよく知っているんです。

自分には父の記憶がほとんどないので、父の話を聞いた時は、なんとも言えない気持ちになりました。

コロッケを通して、祖父母だけではなく、父とももう一度つながったような感覚がありました。

Q. 2026年には、お母様とお姉様がNZでそのコロッケを食べたそうですね。

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「ちゃんと小林コロッケの味が再現できている。メンチカツも美味しい」と喜んでくれました。

母と姉には、NZで作った小林コロッケとメンチカツを絶対に食べてもらいたかったので、本当に嬉しかったです。

味を再現する時も、日本にいる母と姉がずっとサポートしてくれました。

だから自分一人で作ったというより、三人で再現したと思っています。

コロッケを作り続けることで、小林家の歴史も続いていくような気がしています。

Q. 今は、どんな形でコロッケ事業を続けているのですか?

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毎週土曜日にMt Pleasant Farmers Marketで販売しているほか、数軒の日本食レストランにも卸しています。

「もっと大きなマーケットに出たら?」と言われることもあります。

以前はナイトマーケットやイベントにも出ていましたが、続けているうちに、だんだん自分が楽しめなくなっていることに気づきました。

Mt Pleasant Farmers Marketは小さなマーケットですが、ローカルのお客さんが多くて、雰囲気もスタッフも好きなんです。

自分のコロッケは、お金だけではないんですよね。

無理に大きくするより、自分が楽しみながら続けられる形を作っていきたい。

始めてから約2年。マーケットでの売上は当初の約3倍になり、常連のお客さんも増えてきました。

少しずつですが、知ってもらえている実感があります。

Q. 最後に、これからやりたいことを教えてください。

「いつか、NZで育ててきた小林コロッケとメンチカツを、大阪の地元へ戻したいです。もう一度、小林コロッケを地元で復活させたい。そして、日本やNZ以外の国にも広げていきたいと思っています。NZで終わりではありません。自分の人生プロジェクトを、まだまだ続けていきます」

大阪で一度途絶えた祖父母の味は、家族の手から手へ受け継がれ、海を越えてNZで再び形になりました。よしさんが次に目指すのは、その味が生まれた大阪です。

コロッケを作ることは、家族の歴史を残すこと。小林コロッケの物語は、これからも続いていきます。

まだ始まったばかりです。

Smiley Corokke
https://www.instagram.com/smiley_corokke/
【出店マーケット】
毎週土曜日 Mt Pleasant Farmers Market
https://maps.app.goo.gl/t4mQh1GVSBdVfNvq6
Japan Fiesta
10月3日(土)Riccarton Park
https://japanfiesta.co.nz

※本記事は2026年9月に取材したものです。肩書き・所属等は取材当時の情報です。

 

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