一度取得すれば一生失効しないNZのPermanent Resident Visa。これを見直そうとする選挙公約を掲げる政党が現れました。
政権与党のACT党が、ショッキングな移民政策案を発表
ACT党の移民政策スポークスマンであるDr Parmjeet Parmarは、2026年11月7日に行われる国政選挙に向けた政策として、現在のPermanent Resident Visaを廃止し、Resident Visaに5年間のTravel Conditionを付与する制度へ変更する案を発表しました。 この案では、Travel Conditionを維持するために、直近5年間のうち最低730日、つまり合計2年間をニュージーランド国内で過ごすことが求められます。なお、この730日は連続している必要はないとされています。 一方で、ニュージーランドの雇用主のために海外で勤務している場合、家族に同行して海外に滞在している場合、海外で軍務に就いている場合、ニュージーランド市民の配偶者がいる場合や特に考慮すべき人道上の事情がある場合などについては、例外を設ける方針も示されています。 (NZ Herald, 2026年9月1日)つまり、Resident Visa取得後にニュージーランドを長期間離れた場合、必要な滞在要件を満たさなければ、5年間のTravel Conditionを維持できず、Residentとしてニュージーランドに再入国できなくなる仕組みのようです。
Permanent Resident Visaなのに、NZに住まなくてもキープできる矛盾
現在のPermanent Resident Visaから、大きく考え方を変える政策案といえます。 同スポークスマンは、現在のPermanent Resident Visaについて、「Permanent Residentsは永住する必要がないというのは、最も奇妙な移民政策だ」と指摘しています。 この点については、私も個人的に同意します。そもそも「Permanent Resident Visa」という名称でありながら、一度取得してしまえば、その後ニュージーランドにほとんど滞在していなくても、原則としてその資格が失われないという現在の制度には、名称と実態に矛盾があるように感じます。
その移民政策には賛成しない。でも、選挙公約としては上手い
個人的には、この移民政策公約には賛成しかねます。 ただし、選挙公約として考えると、非常に巧みな政策だと思います。 まず、「移民政策をもっと厳しくすべきだ」と考える保守層に対して、分かりやすくアピールできます。現在の移民制度に疑問を持つ有権者には、非常に響きやすい政策でしょう。 一方で、実際に大きな影響を受ける人は、それほど多くない可能性があります。 ニュージーランドの市民権は、一定の条件を満たした上で、こちらも原則として直近5年間の滞在実績が一つの基準となっています。そのため、長期的にニュージーランドに定住し、最終的に市民権を取得する人については、仮にこの公約が実行されたとしても、影響を受けません。実際、長期定住するほとんどの永住者は、最終的にNZの市民権を取得します。
直接影響を受けるのは、二重国籍が認められていないなどの理由からニュージーランド市民権の取得を目指さず、これからResident VisaまたはPermanent Resident Visaを取得する人です。 ただし、現在のResident Visaには、一定の条件を満たせば将来Permanent Resident Visaを申請できると記載されています。そのため、既にResident Visaを取得している人について、「PRV制度を撤廃したため、今後PRVを申請することはできない」とするのであれば、現在発給されているResident Visa内の記載内容との間に矛盾が生じると考えます。私見ですが、いずれにしても、その中で今年の選挙に投票権を持つ人が有権者全体に占める割合は、そこまで大きくないのではないかと思います。
さらに、ACT党が掲げた永住権維持条件「5年間のうち730日」という数字は、オーストラリアやカナダでも使われている基準です。そのためACT党としては、「ニュージーランドだけ特別に厳しくするわけではなく、他の主要移民国に近づけるだけだ」と説明することもできます。 つまり、有権者の関心が高い移民政策で大きなインパクトを出せる一方、既存の有権者への直接的な不利益は比較的限定される。 政策の中身に賛成するかどうかは別として、選挙公約としては、かなり計算された政策だと感じます。
現在Permanent Resident Visaを持っている人はどうなる?
では、既にPermanent Resident Visaを持っている人にも、新しいルールが適用されるのでしょうか。 現在のPRVには、「This visa allows you to stay in New Zealand indefinitely」と明記されています。そのため、既に発給されているビザの内容を法律改正により後から変更するというのは、現実的にはかなり難しいのではないかと思います。そのため、既にPRVを取得している人まで新制度の対象になるとは個人的には思えません。
ただ、ここでも「うまいな」と思う点があります。この政策は、比較的早く実行に移せる可能性があるからです。 新規のPermanent Resident Visaの発給制度を廃止し、Resident Visaに付与されているTravel Conditionを現在の原則2年間から5年間へ変更するのであれば、時間のかかる国会審議を経てImmigration Actそのものを改正しなくても、移民局のビザルールを変更するだけで対応できる可能性があります。 つまり、政権がその気になれば、比較的スピーディーに実施できる政策ともいえます。
それではどうすればよいのか?
これからPRVを申請する方にとっては、制度変更の時期が非常に重要になります。ニュージーランドのビザは、原則として申請時点で有効だった移民法やビザルールに基づいて審査されます。つまり、結局のところ、できるだけ早くResident Visaを取得し、現行ルールの下でPermanent Resident Visaを申請できる状態まで進めておくことに尽きます。 8月から技能系永住権制度の大きな改正が始まりましたが、審査については、旧制度のSMCと比べてもかなりテンポよく進んでいる印象を受けます。 そのため、永住権の条件を満たしているのであれば、できるだけ早く申請し、万全の状態で審査を受け、少しでも早くResident Visaの発給を受けることが重要です。
それにしても、ビザの条件を十分に満たしていなかったり、明らかなリスクがあったりするにもかかわらず、永住権申請に挑戦される方が少なくありません。 今回のACT党の公約を心配する前に、まずはそもそも自分が現行制度の下で永住権を取得できる見込みがあるのか、きちんと確認することの方が重要だと思います。
このコラムは、一般的なビザおよび移民法に関する情報を提供することを目的としており、法的助言を目的としたものではありません。執筆者および弊社は、本コラムの内容に起因する損害について、一切の責任を負いません。また、免責事項も含めて本コラムの無断転載および改変を禁止します。 政府公認の移民アドバイザーは、移民アドバイザーライセンシング法に基づき、ニュージーランド政府からライセンスを取得しています。執筆者はこのライセンス(Full Licence)により、単独で移民に関する助言および各種ビザ申請に関する業務を行うことが認められています。 移民アドバイスを受ける際には、無資格者を介した不適切な助言や手続を避けるため、政府機関IAAのウェブサイトにおいて、アドバイス提供者のライセンス番号およびライセンスの種類を確認することをお勧めします。ライセンスの発給歴についても確認することができます。(アドバイザー番号の最初の4桁は、アドバイザー資格申請年を示しています。) また、Limited Licence保持者については、助言を行うことが認められているビザカテゴリー等に制限がある場合がありますので、その範囲についても事前に確認することが重要です。 弊社では、本コラムの執筆者であるニュージーランド政府公認の移民アドバイザーが、お客様に対し、直接対応し、受任から申請、審査完了に至るまで一貫して案件を担当しています。 お問い合わせはinfo@nzvisapartner.comまで(執筆日2026年9月1日)
- Aki Yamasaki
- New Zealand Visa Partner Limited(ニュージーランドビザ申請代行センター)代表。NZ政府公認・移民アドバイザー(Licence No. 201701307)/NZ公認教育カウンセラー。カンタベリー日本人会協賛会員。Google Review 5.0。
- ニュージーランド移住27年目、移民アドバイザー歴9年目。TOEIC満点、英検1級。Master of Business Lincoln Uni、Bachelor of Social Science (心理学) Waikato Uni,、移民法最高学位GDNZIA等15学位を取得し、現在も大学院ロースクールで法律を学ぶ。
- 一般的なビザ申請だけでなく、申請却下歴、犯罪歴、移民保護裁判所などの困難な案件にも対応。移民法に基づく法的助言、申請代行、移民局との交渉、面接同席、弁論書作成等一貫して担当する。却下後の不服申立て、犯罪歴・病歴を伴う案件、移民大臣による特別な例外許可を求める案件、さらに弁護士や他の移民アドバイザーでもビザ取得に至らなかった案件についても、ビザ発給へ導いた実績を有する。 コロナ禍でビザ許可率が低下していた時期に、かつ素行要件にも抵触していた2件のビザ申請を除き、これまで受任したビザ申請の成功率は100%。評判の高い移民アドバイザーや留学エージェントからも案件の紹介を受けている。
- 法律分析と移民局への弁論書に定評あり。本気でニュージーランドのビザ取得を目指し、「応援したい」と思える案件のみ厳選して受任。弊社で申請代行可能かどうかの査定は無料。
- NZ国内外オンライン対応
- お問い合わせフォーム:https://app.ezymigrate.com/c_q?para=fzg2603ilm5
- Email:info@nzvisapartner.com
- 平日 NZ時間 9:00~18:00
- https://nzvisapartner.com/
- https://jp.newzealandvisapartner.com
- https://overstayinnewzealand.com/ (不法滞在者向け)
- https://twitter.com/akiyamasakiNZVP
