ビザは、申請すれば必ず発給されるものではありません。だからこそ、それぞれのケースに最適な申請戦略を立てることが重要です。
『誰でもいいからJob Offerとビザをください』はやめよう
最近、「ニュージーランドまたはオーストラリアへの移住を検討しています」「ビザを取れるように、何でもいいので仕事を紹介してほしい。あわせてビザ申請も代行してほしい」という、問い合わせを世界中から受け取ります。CV、LinkedIn、自己紹介動画を添付し、「どのような方法がありますか」「どのビザを申請すればよいですか」「どの書類が必要ですか」「料金も教えてください。依頼する場合の参考にします」という同じような問い合わせです。
海外移住を希望するのであれば、何をしたいのか、そして何が出来るのか、どのように貢献できるのかをまずは考えるべきです。会社にとっては「この仕事を通して自分が成長したい」「英語はまだできませんが頑張ります」だけでは、採用する側のメリットは皆無です。それは、英語力もなく、経験も浅く、必要な知識もない、やる気だけある移民アドバイザーを雇わないのと同じです。
ニュージーランドとオーストラリアは、英語圏で文化的に似ている一方、実際に暮らしてみるとかなり異なります。「ビザが取りやすい方」ではなく、自分はどちらの国で暮らしたいのかという原点に立ち返って考えることが大切です。
無資格者のサイトを参考にしてビザは取れるのか?
以前より何度かお伝えしているのですが、移民アドバイザーの資格を持っていない人が、移民局のウェブサイトや過去の自分自身の申請経験を基に「この状況なら、このビザを申請すればいい」、「私はこの書類で取れたから、あなたも大丈夫」などと、ブログやSNSで具体的なビザ情報を発信しているケースをいまだによく見かけます。
昨今のニュージーランドのビザルールは、コロナ禍の頃ほどではないにしても、現在に至っても年間40回以上改正されています。そもそも、ビザ申請は一人ひとり事情が異なります。数年前に自分が申請した時の条件や審査基準が、現在の申請者にもそのまま当てはまるとは限りません。過去の自分の経験だけを基準に他人のケースを判断するのは、非常に危険です。
移民局の一般向けウェブページには、実際の審査で問題となる法律上の解釈や、細かな審査方法まで全て記載されているわけではありません。実務では、ビザルールを読むだけではなく、その解釈、審査の仕方、場合によっては過去の裁判例まで確認する必要があります。
ビザ申請は、ウェブサイトを読んで「この書類を出せば大丈夫」と言えるほど単純なものではありません。記事の投稿日に、すでに存在しないビザやビザルールについて堂々と案内している場合は、執筆者が最新の制度を十分に把握していない可能性を示す一つの判断材料になります。
ビザについて話す相手を考えよう
もう一つ注意したいのが、人の噂話が好きな人です。あなたの話に尾ひれが付き、職場や友人間の話題になってしまうことがあります。ビザ申請には、職歴、収入、家族関係、過去の申請歴など、極めて個人的な情報が含まれます。そのため、共有する情報を必要最小限に留めるのが賢明です。
また、友人や知人との会話の中で、自分の経験や知識だけを根拠に、事実上の移民アドバイスをしている人も少なくありません。資格を持たない人が、個別の事情に対して具体的なビザの助言を行えば、それは親切心ではなく、違法行為です。もしその違法アドバイスを基づいて申請が却下となった場合、その人はどう責任を取るのでしょうか?
私自身もこれまで、「友人からこう言われたのですが、本当ですか」と何度も相談を受けてきました。ところが確認してみると、完全に間違っている、既に廃止された古いビザルールだった、あるいは一部は正しいものの、その相談者には適用されないというケースがほとんどでした。
ビザサポートは、お互いに長期的な信頼関係を築ける相手かどうかで判断しよう
就労ビザや永住権のビザサポートは、雇用主と労働者の双方にとって大きな責任を伴います。だからこそ、条件だけではなく、「この相手と長期的に信頼関係を築けるか」という視点で判断することが大切です。そのため、働けるビザを持っている方は、できるだけ早く就職活動を始め、自分に合う会社を見つけることが大切です。ビザ申請では、早く動いた人ほど選択肢が広がり、結果として手続もスムーズに進みやすくなります。行動が遅れれば、周囲にも負担をかけることになりかねません。
また、現在の連立政権に参加しているNZ Firstは、選挙公約としてAccredited Employer Work Visaの撤廃を掲げています。認定雇用主の要請に応じた現制度から、職種、地域及び労働需要に応じて就労ビザを発給する制度への移行を提案しています。(RNZ, 2026年10月11日)選挙後も同党が政権に参加した場合、この公約が今後の移民政策に反映され、場合によっては、現在よりも就労ビザの取得が難しくなる可能性があります。
自信満々な素人が一番怖いかも
これは、私が移民アドバイザーになるよりずっと前、自分でビザ申請をしていた頃の話です。当時の私は、少し英語に自信があり、「必要書類は全部そろっているし、申請方法も移民局のホームページに書いてある。これでビザが落ちることなんてないだろう。大丈夫、大丈夫」と本気で思っていました。ところが実際には、審査官から見事なまでにコテンパンにされたことがあります。
経験のある方なら分かるかもしれませんが、ビザ申請を終えた直後は、申請が無事完了したということで、気分がいいものです。しかし、なかなか審査が進まないと、少しずつ不安になります。そこへ移民局から「この点について懸念があります。懸念を払しょくできないとビザ申請が却下になります。」と記載されたレターが届くと、一気に血の気が引きます。そして、申請却下の決定が届いた時には、本当に地獄へ突き落とされたような気持ちになります(ちなみに、私は過去に、弁護士から「99.99%大丈夫です」と言われて申請代行を依頼したビザ申請が不許可になった経験があります。今、移民アドバイザーとして振り返ると、当時の申請はかなり難しい案件でした。ただ、その経験がきっかけで移民アドバイザーを目指すようになったので、人生、何があるか分からないものですね。)
「必要書類は全部そろっています」と自信満々に言う方も少なくありませんが、私はむしろ少し危険だと感じることがあります。実務上、確認してみると、本当に十分な資料がそろっているケースは意外に少なく、「このまま申請すれば不許可になる可能性がある」と感じるケースが多くあります。ビザ申請で本当に怖いのは、「何も知らない人」よりも、「自分は分かっている」と思い込んでいる人です。もちろん、自信を持つこと自体は大切です。ただし、その自信は、正確な知識と十分な経験に裏付けられていることが重要です。根拠のない自信ほど、ビザ申請では危険です。また、自信の強いクライアント様のビザ申請代行には、別の難しさがあるのも事実です。特に、ご自身の理解が正しいと強く信じている方に、専門家として異なる見解や注意点を伝える場面ほど、難しいものはありません。
必要な費用をかけることで、選択肢が格段に広がる
ビザ取得にかかる費用は、単なる「出費」ではなく、将来の可能性を広げるための自己投資だと思います。 例えば、翻訳一つを取っても、翻訳料が高くても、経験のある翻訳者に依頼すれば、同じ内容でも言葉の選び方や表現の仕方が異なり、読み手に与える印象も変わり、より良い結果につながるかもしれません。学校に進学するという選択肢を取れば、卒業後にPost Study Work Visaへつなげられる場合もありますし、IELTSについても、必要であれば複数回受験することで、より高いスコアを目指すことができます。 このように、ビザ取得に向けて必要な部分に適切に費用をかけることで、選択肢を増やし、将来の可能性を広げることができます。 例えば、永住権や就労ビザを取得することで得られるさまざまなメリットを考えれば、その価値は申請に要した費用を大きく上回ると考えられます。
一方で、移民アドバイザーの料金について、「安ければ依頼する」という金額だけで判断されることがあります。しかし、最終的にビザを取得できなければ、その先にある就職、留学、移住といった計画自体が進みません。 移民アドバイザーの役割は、単に申請書を代筆することではありません。移民法やビザルールを確認し、必要に応じて法的なリサーチと分析を行い、申請内容に応じた移民アドバイスをして、最終的に弁論書を作成します。また、代理人として雇用主や移民局と直接やり取りすることで、申請者本人の負担を軽減することもできます。 こうした業務には相応の時間、知識、経験が必要になるため、専門家の経験や提供する業務の内容によって、料金が異なります。それでも、一般的には弁護士に依頼する場合より費用を抑えられます。 もちろん、どこまで費用をかけるかは最終的にはご本人の判断です。ただ、目先の費用だけを抑えた結果、後からより大きな費用や時間を要することにならないよう、その費用によって何が得られるのか、そしてビザ取得の可能性を高めるために、どこへ費用をかけるべきなのかという視点で考えることも大切だと思います。
このコラムは、一般的なビザおよび移民法に関する情報を提供することを目的としており、法的助言を目的としたものではありません。執筆者および弊社は、本コラムの内容に起因する損害について、一切の責任を負いません。また、免責事項を含む本コラムの内容について、無断転載、無断改変、二次利用、又はその内容を基にコラム・動画その他のコンテンツを作成する行為を禁止します。政府公認の移民アドバイザーは、移民アドバイザーライセンシング法に基づき、ニュージーランド政府からライセンスを取得しています。執筆者はこのライセンス(Full Licence)により、単独で移民に関する助言および各種ビザ申請に関する業務を行うことが認められています。 移民アドバイスを受ける際には、無資格者を介した不適切な助言や手続を避けるため、政府機関IAAのウェブサイトにおいて、アドバイス提供者のライセンス番号およびライセンスの種類を確認することをお勧めします。ライセンスの発給歴についても確認することができます。(アドバイザー番号の最初の4桁は、アドバイザー資格申請年を示しています。) また、Limited Licence保持者については、助言を行うことが認められているビザカテゴリー等に制限がありますので、その範囲についても事前に確認することが重要です。 弊社では、本コラムの執筆者であるニュージーランド政府公認の移民アドバイザーが、お客様に対し、直接対応し、受任から申請、審査完了に至るまで一貫して案件を担当しています。お問い合わせはinfo@nzvisapartner.com (執筆日2026年10月8日、加筆10月12日)
- Aki Yamasaki
- NZ Visa Partner Limited ニュージーランドビザ申請代行センター® 代表。NZ政府公認・移民アドバイザー(Licence No. 201701307)/NZ公認教育カウンセラー。カンタベリー日本人会協賛会員。Google Review 5.0。
- ニュージーランド移住27年目、移民アドバイザー歴9年目。TOEIC満点、英検1級。Master of Business Lincoln Uni、Bachelor of Social Science (心理学) Waikato Uni,、移民法最高学位GDNZIA等15学位を取得し、現在も大学院ロースクールで法律を学ぶ。
- 一般的なビザ申請だけでなく、申請却下歴、犯罪歴、移民保護裁判所などの困難な案件にも対応。移民法に基づく法的助言、申請代行、移民局との交渉、面接同席、弁論書作成等一貫して担当する。却下後の不服申立て、犯罪歴・病歴を伴う案件、移民大臣による特別な例外許可を求める案件、さらに弁護士や他の移民アドバイザーでもビザ取得に至らなかった案件についても、ビザ発給へ導いた実績を有する。 コロナ禍でビザ許可率が低下していた時期に、かつ素行要件にも抵触していた2件のビザ申請を除き、これまで受任したビザ申請の成功率は100%。評判の高い移民アドバイザーや留学エージェントからも案件の紹介を受けている。
- 法律分析と移民局への弁論書に定評あり。本気でニュージーランドのビザ取得を目指し、「応援したい」と思える案件のみ厳選して受任。弊社で申請代行可能かどうかの査定は無料。
- NZ国内外オンライン対応
- 営業時間 平日 NZ時間 9:00~18:00
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